2023年8月12日土曜日

シューベルト 交響曲第8(9)番「グレイト」_ケンペ

 シューベルト 交響曲第8(9)番ハ長調 D.944「グレイト」、ケンペ;ミュンヘンフィル(1968年録音:ミュンヘン、ビュルガーブロイケラー)を聴く。

冒頭のホルンの毅然とした音がこの演奏の方針を示す。そして馥郁たる香り漂うオーケストラの響き、良く歌う弦セクション。当時のコンマスは、クルト・グントナーだ。奥行き感と臨場感を感じさせるた両翼配置の効果。推進力を秘めているが、変なアッチェレランドなどせず、インテンポで男気の終結部を奏す。第2楽章は、明快なアクセントでやや早めのテンポで展開。美しく気品あるオーボエ。再現部のアクセントとレガートの対比、劇的な静寂も素晴らしい。3楽章、主部の弦楽群の迫力、トリオでの木管群の鄙びた香りがまたいい。軽く揺れを生み出すケンペの絶妙な棒も魅力だ。白眉は終楽章、早めのテンポでこれでもかと驀進し、まさに息をもつかせないオーケストラ。突進力を持ちながら、弦楽群の刻みに一切の乱れも見せない確かさ。冗長で退屈などと言わせないケンペの見事な統率。終結部も強烈な推進力とパワーを持ちながら、インテンポを貫き通す愚直さ。統率された豪放!まさに名演!!です。


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