2024年2月24日土曜日

グリーク ピアノ協奏曲_アンダ

 グリーク「ピアノ協奏曲イ短調 Op.16」ゲザ・アンダ(p)クーベリック;ベルリンフィルハーモニー(1963年録音)で聴く。

この曲の聴きどころは、何と言ってもアンダの透明感にあふれ、硬質な音色だろう。シューマンと同じイ短調で書かれたこの曲は、なんと400回も修正がされたものらしい。我々が聴いているのは初稿から40年間修正続けてきたもののようだ。第1楽章、カデンツァのアンダの燦めくような音は素晴らしい。ブラームスで見せた豪快な拳打も聴きものだ。第2楽章は、弱音器をつけた弦楽群から始まり、トランペット、木管群、ホルンと感傷的なフレーズが奏でられピアノが引き継ぐ。アンダの優しさ・繊細さが滲み出る白眉の場面。第3楽章、決然とした民族舞踊的なフレーズに合わせ、歌うピアノ、中間部のカールハインツ・ツェラーのフルート独奏は軽やか。終盤にかけての「雪崩式ブレンバスター的」な白熱の場面でも、アンダはブレることなく確実な拳打でそのロマンティシズムを見せつけてくれる。クーベリックは、表情の豊かさに重きをおいた見事なサポートでした。


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