エルガー 弦楽セレナーデホ短調OP.20、シノーポリ フィルハーモニー管弦楽団(1990年録音)を聴こう。
エルガーには、エニグマ変奏曲の「ニムロッド」という有名な美しい曲がある。それに勝るとも劣らないのが、第2楽章:Larghettoだ。エルガーが遺した最も美しい緩慢楽章の一つらしいっす。息の長い、祈るようなメロディが弦楽器の濃厚な響きによって歌い上げらる。中間部で一度大きく感情が高ぶり、再び静けさを取り戻していく様、後年の「ニムロッド」にも通じるのだろう。エルガー特有の高貴な抒情性に満ちている。1楽章も、ヴィオラが刻む独特のリズムに乗って、ヴァイオリンが切なくも美しい第1主題を奏で、3楽章で、コーダに差し掛かると、それが再登場する。全体を優しく包み込むような「循環形式」か。最後はホ長調の明るく穏やかな和音の中に、静かに余韻を残して消え入るように曲を閉じる。シノーポリのLarghettoは、イン・テンポで流していく箇所は皆無と言ってよく、ルバートを巧みに用いて、一つのフレーズをこれでもかと引き延ばす。お得意の「沈黙」や「タメ」に、きわめて濃厚なエロティシズムと情念が宿る。やはり、通常よりも30秒も長い(4.5~5.0分の曲で)。やりすぎか?でも美しい!

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