2016年3月21日月曜日

チャイコフスキー&ラフマニノフ ピアノ協奏曲

今朝の一枚。
その名演は、リヒテルが西側での演奏を許可される前年の1959年。「鉄のカーテン」の向うで第二次大戦での悲惨な記憶をもつリヒテルの魂の迸りを感じる誰もが知る名曲の2曲である。
「チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番」ムラヴィンスキー:レニングラードフィル。
「ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番」ザンデルリンク:レニングラードフィル。
ロシア;メロディアによるMONO録音であるが、そのようなことはこの演奏において些末なことにしか思えない。
【チャイコフスキーのピアノ協奏曲】は、3年後に某帝王との名盤と呼ばれる(?)演奏があるが、帝王臭に染められた曲作りによる凡庸なリヒテルはここにはいない。
ムラヴィンスキーの凛とした筋肉質のバックアップにより、力強く生命感にあふれ、水を得た魚のように弾けまわるリヒテルのピアノ。鉄のカーテンならぬ、分厚いオーケストラのフォルテのカーテンを突き破るようなピアノの音に誰もが感動せずにはいられない。
【ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番】は、指揮はドイツ人(東プロイセン)のザンデルリンク。ザンデルリンクは、ソヴィエトに亡命しており、レニフィルの第一指揮者となりムラヴィンスキーの元で研鑽を積んでいます。この演奏の翌年に東ドイツに戻り、ベルリン交響楽団、シュターツカペレ・ドレスデンへ。
冒頭のあの大きな手が叩き出す鐘の音。その後に続くレニフィルの重厚な弦の響き。これだけでもう降参!ザンデルリンクには悪いがこれはムラヴィンスキーの音であろう。リヒテルの情熱的な鍵打から音の輝きが活き活きと弾け飛んできます。大好きな第2楽章のカデンツァと終結部、リヒテルはここも水晶のような音の粒を飛ばしながらも決して甘くならず厳格に重厚に弾いてくれる。
第3楽章冒頭、強いながらも繊細なリヒテルのタッチの独壇場。抒情的な第2主題においても堅めのタッチで芝居臭いロマンチシズムを感じさせぬ所が「男前」だ。終結部は圧巻の一言。「ラフマニノフ終止」に向かってピアノ・オーケストラ一体となっての盛り上がり。
月曜日の休日は最高だ!

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